瞼の裏

閉じた瞼の裏という岩肌に

忘れることのできない あのかんばせを彫るがいい


そうすれば 夜の帷の降りるごと

君の磨崖仏が 微笑みを見せるだろう

─まるで 雲の合間から射し込む陽光ひかりのように


夜に祈ることができるなら

昼 太陽のもとで眼を開けているあいだ

強い眼差しと 全てに耐える 引き結んだ唇がきみのものとなる


 

歳月は決して 風化させはしない

君の人生の 切り立った岩壁を

そのことを信じながら


日没と日の出の繰り返しを生き抜いていくのだ



5/22/2025