狼狽える男

恋人は

眉根 まなじり 身のこなし

えくぼ 声色こわいろ たたずまい

数々の手品で私の内面に

いとも容易く入り込んでくる


するりと特等席に収まって

素知らぬ顔をしているさまは

もはや理不尽な卑怯者のようなものだ!


 

しかしどうしてそんな離れ業が許されるのか

その理由もわからぬままに

あんこうの提灯に 心だけが引き摺られていく


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6/28/2025