車内の情景

 

みごとに 等間隔に

ならべられた 鉢植え

砂で汚れた 白いスニーカーの群れが

はるかな 青い輪となって

自分たちの笑顔に 手を振っている



すると こちらの 水を張った鉢には

刻一刻と 身体を くねらせ続ける

小さな金魚がいる

そのかわいらしい眼には 母親さえもが

世界が散らす 火花の合間に映るだけ

だが 母のまなざしは

疲れて眠った小さな心に

光文字で 人知れず 刻まれている