毒─(むしろ卑屈さという毒)

 

蛇の噛んだ跡から 致死性の毒が入り込むように

私の全身を駆け巡り 痛めつける あのひとへの慕情


ふたつの星のように

ふたつのピリオドのように


行儀よく並んで輝く 朱い傷跡から流れ出す

凝固作用を失った 私の意識


自己のまとまりを失くしたそれは

見るからに粘りけが無く


はたから見る者に 怖気を感じさせる


しかし とめどもない妄念は

かえって この私にとって

限りなく暗い 拍車となるのだ


哀れな私は 毒杯を仰ぐかのように

恐ろしい物質の滴る 一揃いの棘に よろこんで口づけをするだろう

紫の腺の透き通る棘に